先日知人からこんな話を聞いて驚きました。「ある療法によって発達障害の子が完治した」というのです。
…発達障害とは治せるものなのでしょうか。
発達障害とは?
発達障害は生まれつきの脳の機能の障害です。
親のしつけや育て方が原因ではありません。
発達障害の子は、見聞きしたものを理解して・頭の中で情報をつなぎあわせて・アウトプットする。認知機能でのかたよりがあります。
発達障害は治るのか?
息子が発達障害かも?と思いはじめた頃、色々調べました。
Amazonなどで本を検索すると、「治す」「治る」と言い切る本もちらほらありますが、私自身は発達障害は治るというものではないと理解しています。
風邪や腹痛のような病気なら完治という言い方ができるでしょう。
でも発達障害は障害です。
少なくとも現時点においては、手術や特定の方法によって全くなかったことにするということはできません。
自分の性質と向き合っていく
そう理解した最初の頃は、息子がこの生きづらさと一生付き合っていくのかと思うと正直少し(いや、かなり)落ち込みました。
でも誰しも自分の性質と向き合って生きていかなければなりません。
人生で苦労することも多いかもしれないけれど、人の何倍も努力をしてきたことは絶対に無駄じゃない。
力を抜くところは抜いてメリハリをつけられるようになったら、努力ができる子はもっともっと伸びるはず。
まあ息子は俺はそんなの望んでないよというかもしれないけれど、私はそう信じています。
対処≠完治
そもそも治ったってどんな状態なんでしょう。
環境・療育・投薬などで「対処」することはできます。
発達障害と診断される子と、いわゆる健常児の間の子がグレーと表現されることがありますが、「対処」によって、本人が過ごしやすくなるようになり、周囲から見ても限りなく白に近いグレーになれば治ったと言えるのでしょうか。
冒頭の知人はその状態を「治った」と言ったのかもしれません。
でも障害がなくなるわけではない。
発達障害は、性格と同じような特性。一生付き合っていかなければならないもの。
だから本人が発達障害の自分の特性をしっかり自覚することが大切なのだと思います。
発達障害は治らない。でもできることはたくさんある。
発達障害の生きづらさを軽減する「療育」
子供の発達障害とうまく付き合っていく助けとなることの1つに「療育」があります。
療育に関して、いい記事がありました。
文中にこんな記述があります。
その子なりの一番よい姿にするのが「療育」
「療育」とは、訓練してみんなに追いつかせるものではありません。発達障害は脳の小さな不具合から生じているわけで、治療して治るものではありません。脳のちょっとした不具合を持ちつつも、周囲の接し方いかんで、その子なりの一番よい姿を見せてくれるようにするのが「療育」です。」
「その子なりの一番よい姿を見せてくれるようにする」っていい表現だなぁと思います。
そういった場所と人に出会えたらラッキーですね。
発達が気になったら療育は幼児期から行うべき
我が家は小学校に入ってから療育を探し始めたのですが、適切な施設・専門家を探すのに苦労しています。
ようやく見つけても定期的に通える枠はすでに満席。キャンセル待ちを利用して不定期で通っています。
また、1回6000円〜と高額(専門家ですからもちろんまっとうな対価だとは思いますが)。
うちの自治体は小学校から新たに自治体の療育をスタートはさせてもらえませんでした。一般的に療育は早期に行うのが効果的と言われているので、そちらが優先になるのでしょう。
幼児期から通えていれば、小学生になっても引き続き自治体の療育施設を比較的安価で利用できたようで、もっと早く通っていればと悔やまれます。
療育に行って悪いことは一つもないと思います。辞めたい時は辞めればいいんですから。
発達で気になることがあり、療育に通えるチャンスがあればぜひ一度足を運んでみることをお勧めします。
専門家との出会いで得るもの
発達障害は一生つきあっていくもの。持久戦です。
子供自身だけ・親だけで頑張ろうと思うと、行き詰まることも多いし息切れしてしまいます。
専門家や話ができる仲間との出会いは、親子共に大きな力となります。
ほどほどに力を抜いていこう
私の知人で大きな会社の社長として活躍する方がいます。
その方は息子と同じADHD。物事をすぐに忘れてしまう。
だから、今もその方は予定が入れば必ずGoogleカレンダーでリマインドを1日・1時間・10分・・と何回も設定しているそう。
苦手は対策。もしくは開き直る。
発達障害ではない人にも言えることですが、自分の苦手なことに対してできることは2つあると思います。
1つは前述の社長のように自分の特性を知り徹底的に対策を打つこと。2つ目はそういうものだと開き直ること。
例えば忘れ物が多くても本人がそれほど困っていなくて日常を乗り切れるのであればそれで良いのでは?人から借りたり、なくてもなんとか乗り切れる力があるのはいいこと。ただし気をつけなければいけないのは、例えば家庭科の食材など忘れ物をすることでクラス全体に迷惑をかけてしまうような場合。叱責や評判が落ちることで肯定感が下がることがあるなら、それは対処が必要。
小学校に巡回してくださっている臨床心理士の先生に言われたことです。
考えてみると、息子はそういったクラス全体にかかわる持ち物についてはかなりしっかりと覚えています。
息子の人生において筆箱を忘れることは大したことではない。だけど本人なりにちゃんと大事なことはわかっている。そう思うと、なかなか面白いなと思いました。
完璧な人なんていない
私だって苦手なことはたくさんあります。全て得意になんてできません。
そう考えると息子になんでも頑張れというのはおかしいですよね。
ついあれもこれもと欲張ってしまいがちだけど、ほどほどに適当にメリハリをつけて。子供が一番いい状態でいるためにどんな手伝いができるのかを考えていきたいと思います。