図で考える。
子どもと算数をするときに一番大切にしていることです。
新しい単元に入ったときは、数字の羅列では終わらせず、必ず図に書いて考えさせるようにしています。
今は「正しい図」を書くことにはこだわりません。
重要なのは、「わからないときには図を書いて考えてみる」癖をつけること。
そんなことを考えながら取り組んでいます。
数字を図式化することの重要性に気づく
父親の私は中学までは数学に苦労しませんでしたが、高校二年あたりでよくわからなくなりました。
元々文系の科目が好きだったし、通っていたのは赤点上等の地方の伝統男子進学高。
数学ができなくても大して気にしないまま放置。センター試験を受けることもなく、私立の大学に入学しました。
その後、社会人になって数年が経ったころ、帰省した際に、ふと思い立って高校数学の教科書を開いてみたことがあります。
前のページから順に読んでいったのですが、不思議なことに、当時さっぱりわからなかったはずの単元が苦もなく理解できるのです。
数学ができればセンター試験を受けたかも
これは私にとって、かなり衝撃的な出来事でした。
社会人になると、親のありがたみがわかります。もちろん十代のうちからわかっている人も多いとは思いますが、、、私はまるでわかっていませんでした。
学費の安い国立大学に進学する、つまりセンター試験を受けることをあっさりあきらめて、のうのうと私立大学に進学した私。
自分で稼ぐようになって、親が大変な思いをして大学に進学させてくれたのだと気づきます。
数学ができればセンター試験も受けただろうな。国立も視野に入れたかもしれないな。そんな後悔があったのです。
企画書をたくさん作ったら数学ができるようになった
高校時代の自分と何が変わったのか?ひとつ思いついたのが、「物事を図式化する訓練」の有無です。
帰省して高校数学の教科書を開いた私は、ページをめくるごとに、一つ一つ頭の中に具体的なイメージを作りながら理解していきました。
それはとても自然な作業でした。というのは、当時仕事でパワーポイントの企画書を山ほど作っていたからです。
プレゼンテーション用に企画を整理し、図式化する。相手が理解しやすいように、論理構成を明確にして示す。毎日がこんな仕事ばかりでした。
こういう作業に慣れてくると、本も自然に頭の中で図式化しながら読むようになります。
数学の教科書も意識せずに同じことをしていたのでしょう。
一方、高校生の私はそこまで具体的にイメージしていなかった気がするのです。
数字を数字のまま考えようとして、わからなくなっていたのではないか。そんな気がします。
小学校の授業での算数
いつか自分に子どもができたら、図で考えることの大切さを教えてあげよう。
そう思ってから十数年。実際に我が子に勉強を教えようとすると、気づくことがあります。
まず、小学校低学年の教科書を見ると、しっかり図式化して説明しています。相手が7歳や8歳ですから当然です。
先生も、ときには電子黒板を使いながら、できるだけビジュアルで説明しようとがんばっています。
しかし、学校は原則として一度説明したことをもう一度繰り返しません。
せっかくいいイメージを持っても、定着しにくい。授業を進めるために、仕方ないことではありますが。
その結果、計算のやり方だけを覚えてしまい、なぜそのやり方が成り立つのかを考えなくなってしまう。
小学校・中学校では、やり方を覚えるだけで大丈夫かもしれません。高校もそのまま乗り切ってしまう子もいるでしょう。
ただ、やり方に逃げない勉強の仕方を小学校のうちに身につける。これはとても大切だと思うのです。